コラム
事業再構築補助金の傾向と対策を徹底解説!
新型コロナウイルスの影響を受けた中小・中堅企業を対象に国から補助金が交付される制度が新たに設けられました。2021年からスタートした制度で、2023年3月30日、第10回公募が開始されました。申請したすべての企業が補助金を交付されているわけではなく、審査に通過した企業や事業主のみが受給できます。申請するからには受給したいと皆様お考えではないでしょうか。そこで今回は、事業再構築補助金採択の傾向とその対策について詳しく解説いたします。
目次
1事業再構築補助金第1回公募の採択傾向
1-1全体から見る採択率
1-2認定支援機関別に見る採択率
2採択されるための対策
対策1 書類や要件での不備がないように申請する
対策2 説得力のある事業計画書の作成
対策3 認定支援機関の見定め
3まとめ
1事業再構築補助金第8回公募の採択結果
事業再構築補助金サイトでは、今までの公募の採択結果一覧や採択事例を公表しています。第8回公募では12,591件の応募があり、厳正な審査の結果6,456件の採択が決まりました。採択率51.3%と約半数の企業が採択されています。
また事業再構築補助金事務局では第1回公募の詳しいデータを公表しています。
事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 第1回公募の結果について」
このデータから採択の傾向をご紹介します。
1-1全体から見る採択率
第1回公募の応募総数は22,231件で、そのうち申請要件や書類が足りないものが約3,000件ありました。要件を満たしていないものが差し引かれたうちの採択された件数は8,016件で、全体の応募件数から見る採択率は36.1%でした。最も申請数が多かった通常枠の採択率は30.1%で、全体や他の枠の採択率と比べて低い結果となりました。最も注目したい点は、書類不備率が13.5%だったことです。かなりの割合で書類に不備があり、申請要件を満たしていない申請者がいました。書類不備で申請ができないのはもったいないです。なるべく書類を不備なく揃えて申請する必要があります。専門的に本補助金に取り組んでいる中小企業診断士など経営革新等支援機関のアドバイス(コンサルティング)を受けられると、そういった不備が減り安心です。
1-2認定支援機関別に見る採択率
事業計画書は認定支援機関を通して(確認を経て)作成する必要があります。認定支援機関には、中小企業診断士や銀行、税理士、民間コンサル、商工会などが挙げられます。事業再構築補助金事務局は認定支援機関別に採択率を出しています。採択率が特に高いのは、地銀、中小企業診断士、民間コンサルティング会社、公益社団法人です。これらの機関の採択率は全体の採択率よりも高く、審査に強いといえます。今後は事業計画書をどこで作成するかも重要になってくるのではないでしょうか。
2採択されやすくするための対策
採択されやすくするためにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここからは採択されやすくするための対策をご紹介します。対策は下記の3点です。
- 書類や要件での不備がないように申請する
- 説得力のある事業計画書の作成する
- 認定支援機関の見定め
対策1 書類や要件での不備がないように申請する
第1回公募時だけでなく、申請書類に不備が多く見られることが事業再構築補助金事務局から発信されている注意点からも伺えます。
注意点:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 電子申請にあたってご注意いただくこと」
上記のPDFで特に不備があるのは、下記の6つだと明かされています。
- 売上高が減少していることを証明する書類が添付されていない
- 売上高が減少しているとして選択した月と異なる月の書類が添付されている
- 経営革新等支援機関による確認書に記載された法人名が申請者と違う
- 経営革新等支援機関ではなく、申請者の名前で確認書が作られている
- 経済産業省のミラサポplusからの「事業財務情報」が添付されていない
- 添付された書類が破損している、もしくはパスワードがかかっていて見られない
書類が足りなくて審査されないのはもったいないため、避けたいです。公募要領や注意点などをよく読み、公募受付前から書類を準備するなど余裕をもって申請を行うようにすることをおすすめします。また複数人で確認を行うなど不備や抜け漏れがないようにする工夫をしましょう。
対策2 説得力のある事業計画書の作成
事業再構築補助金事務局が第1回公募の傾向を解説した動画を公開しています。その動画で、中小企業庁の担当者が事業計画書について「想いは伝わってくるが、計画の中身はこれから」、「根拠の説明が弱いものが8割方だった」と言っていました。説得力のある事業計画書の作成が重要だとわかります。
事業再構築補助金事務局は事業計画書のアドバイス動画を公開しています。事業計画書について悩んでいる方は参考にしてみてください。動画では、事業計画書では今までどういう事業をしていて新しく何をするのかを明確にし、なぜその事業を選択するのかをはっきりさせる必要があると明かしています。また投資対効果が低いのもよくないとしています。顧客規模がわからないと投資対効果がわからないため、顧客規模も明記しましょう。さらに生産性の向上や利益率の改善を意識して作成すると審査に通りやすいと明かしています。
動画のアドバイスを参考に筋道が通った根拠説明を行いましょう。事業計画書はわかりやすく伝わりやすいもののほうが良いです。そのため、図やイラスト、写真も活用すると良いでしょう。人に読まれることを考慮して、工夫して事業計画書を作成する必要があります。採択されている事業計画書の例が公開されています。採択されているため、参考にして書くと良いのではないでしょうか。
事業計画作成時のポイントは審査員目線で作成すること、審査項目に触れること、要件を満たしていることを必ず記載することです。
対策3 認定支援機関の見定め
認定支援機関を通して事業計画書を作成しますが、認定支援機関によって採択率が大きく異なります。認定支援機関の中でも良し悪しはあるため、よい機関を見極める必要があります。支援件数と採択率などの支援実績は「認定経営革新等支援機関検索システム」から見られます。
それぞれの機関によって支援の範囲は異なります。どこまで支援してもらえるかを確認しましょう。機関によっては事業計画書策定までや採択後の補助事業の遂行まで、補助事業終了後の実行フェーズまで支援してくれるところもあります。事業再構築補助金は採択されてすぐに補助金が払われるのではなく後払い制のため、事業を実行して成功させるまでがゴールとなります。採択されたから終わりではありませんから、頭に置いておくと良いでしょう。
支援機関や担当者と相性が合うかどうかも重要です。一緒に事業計画書を作り上げなければならないため、気軽に質問できて質問に対する回答などから合うかどうかを判断しましょう。事業再構築補助金は事業の再構築や新しい事業の支援をする制度ですが、新しいことを始めるためには多少のリスクがあります。リスクがあるため、支援機関や担当者を信頼できるかも重要です。相性が悪ければ、提案されても納得ができないのではないでしょうか。実績だけを見て選ぶと担当者と合わない可能性があります。実績だけでなく、担当者との会話等を通じた相性も併せて見る必要があります。
3まとめ
コロナ禍から始まった事業再構築補助金の制度をご紹介しました。必要書類が多いために不備があり審査を通過できなかった企業や事業主も多いです。注意事項に気をつけて申請を行ったら、不備なく申請できるでしょう。また申請受付機関は1ヶ月~ほどと短いため、少しでも申請を考えているのなら申請受付期間前から書類の準備をし、余裕もって申請することをおすすめします。要件を満たしているのなら、ぜひ申請してみてください。