コラム
知らないと損をする事業再構築補助金とは?条件も併せてご紹介!
皆様は「事業再構築補助金」をご存知でしょうか。
事業再構築補助金とは、中小企業の事業再構築をサポートするために補助金が受けられる制度です。新型コロナウイルスの影響で私たちの生活は一変しました。経済も大きく変化し、たくさんの企業や店舗が倒産や閉店を余儀なくされたのはみなさんの記憶に新しいのではないでしょうか。
少しでも早くコロナ前の経済状況に戻すために、事業再構築補助金の制度が新たに導入されたのです。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応する為、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とした補助金です。事業再構築補助金は補助対象が広く、補助金の上限額が1億5,000万円(グリーン成長枠)で、補助金は返済の必要がありません。そこで今回は、事業再構築補助金とは何か、申請の要件などをご紹介します。
目次
1事業再構築補助金とは?
2申請に必要な条件とは?
3事業再構築補助金には種類がある
3-1通常枠
3-2大規模賃金引上枠
3-3回復、再生応援枠
3-4最低賃金枠
3-5グリーン成長枠
3-6緊急対策枠
4まとめ
1事業再構築補助金とは?
まず、事業再構築補助金とは何かを確認しましょう。事業再構築補助金とは新型コロナウイルスの影響により変化した日本の経済社会に対応すべく、新商品の開発、新サービスの提供、事業転換などの中小企業の事業再構築をサポートする補助金のことをいいます。
補助金が受けられるのは日本国内に本社がある中小企業・中堅企業で、補助金で事業再編に取り組むことが絶対条件です。事業再構築補助金を受けた中小企業等が日本経済に貢献し、大きな変化をもたらすことが期待されてできた制度で、令和2年度では1兆1,485億円、令和3年度では6,123億円、令和4年度補正予算で5,800億円の予算が設けられています。年々減少の傾向はありますが、まだまだコロナの影響は続き支援を要する企業はたくさんあるため、今年度も継続される見込みです。新型コロナウイルスの影響を受けて始まった制度のため、いつまで事業再構築補助金制度があるかわかりません。対象企業は早く申請されたほうがよいでしょう。
2申請に必要な条件とは?
事業再構築補助金申請に必ず満たしていなければいけない条件(主要申請要件)は下記の3点です。
尚、補助金の要件や計数等は、第9回事業再構築補助金の公募要領に基づいております。
(1)売り上げが一定割合以上減少していること
2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の売上合計高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して、10%以上減少していることが条件です【売上高等減少要件】。
但し、グリーン成長枠、緊急対策枠についてはこの要件は課されません。
売上高に代えて付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)が一定以上減少している場合も申請できます。
(2)事業再構築に取り組むこと
経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行い、3~5年の事業計画書を作成すること
(「事業再構築指針」・・・https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html)
(3)認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること
最後の条件は中小企業診断士や金融機関、税理士といった経済産業大臣が定めている支援機関を利用して事業計画を作成することです。事業計画書の書き方に決まりはありませんが、自身や自社だけで計画書を作成できません。また補助を受ける事業は事業終了後3~5年で付加価値額の年率が平均で3%以上増加するか、もしくは従業員ひとり当たりの付加価値額の年率が平均3%以上の増加が実現できる事業計画が必要になってきます。
あくまでも補助金目当てに事業計画を立てるのではなく、新型コロナウイルスの影響を受けても、事業再構築によって企業が再生出来るような実現可能性の高い事業計画を立てることが重要です。また、申請する事業者が責任をもって事業に取り組む必要があります。
3事業再構築補助金には種類がある
事業再構築補助金は1種類ではなく、複数種類があります。ここからは種類別に詳しく紹介します。事業再構築補助金には6つ種類があります。
- 通常枠
- 大規模賃金引上枠
- 回復、再生応援枠
- 最低賃金枠
- グリーン成長枠
- 緊急対策枠
3-1通常枠
事業再構築補助金の通常枠は、他の枠に該当しないもののことです。「新分野展開」や「業態転換」などを目指す中小企業等の新たな挑戦を支援する枠です。
【要件】
前記「主要申請要件」の(1)~(3)を満たす必要があります。
補助金の金額は従業員の人数によって異なります。
3-2大規模賃金引上枠
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引き上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等を対象としています。最大1億円まで支援します。
大規模賃金引上枠で不採択となったとしても、通常枠で再審査します。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①及び②を満たすこと
① 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、「事業場内最低賃金を年額45円以上」の水準で引上げること
② 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、「従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員」させること
3-3回復・再生応援枠
引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象として「回復・再生応援枠」を儲け、補助率を引上げます。この枠では、事業再構築指針の要件にある「主要な設備の変更」を求めません。この枠で不採択となったとしても、加点の上、「通常枠」で再審査します。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①又は②のどちらかを満たすこと
① 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること
② 中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること
3-4最低賃金枠
最低賃金の引き上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等を対象とした枠です。第3回目の事業再構築補助金受付時から追加された枠です。通常枠よりも補助金額の上限が上がり、補助率が上がりました。この枠では主要な設備の変更を求めません。加点措置を行い、回復・再生応援枠に比べて採択率において優遇されます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下を満たすこと
・2021年10月から2022年8月までの間で、「3ヶ月以上最低賃金+30円以内」で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
3-5グリーン成長枠
グリーン成長枠は、経済産業省が中心となって発表した「2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略」において14分野の実行計画に取り組む中小企業と中堅企業を対象としています。
補助上限額を最大1.5億円まで引き上げ、売上高10%減少要件を課しません。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスをただ排出するのではなく、排出量と森林管理などからの吸収量をプラスマイナスゼロにすることで、排出量をゼロにしようという取り組みです。地球温暖化の環境問題解決のために近年注目されています。世界120カ国以上の国でカーボンニュートラルは賛同され、実施されています。
2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略は、2020年10月に出された宣言です。太陽光などのエネルギー制作の成長が期待されている14の分野で実行計画が行われて、目標が抱えられています。環境問題に取り組む企業を増やすことをも目的としているため、あらゆる分野の目標を設定しています。
【要件】
① 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
② 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は従業員1人当り付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
③ グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みとして記載があるものに該当し、その取組に該当する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
3-6緊急対策枠
緊急対策枠は新型コロナウイルスの影響で思わぬ経済悪化の影響を受けた企業が対象となっています。例えば、原油価格や物価が上がったことによって、何かしらの影響を受けた場合、申請対象に該当します。
【要件】
主要申請要件(2)~(3)を満たし、かつ以下の要件を満たすこと
・足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019年~2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等。また、コロナによって影響を受けていること(電子申請時にコロナによって受けている影響を記載することが必要になります)。
【補助額】
従業員規模に応じて、最大4,000万円まで、補助率3/4(一部2/3)で支援します。
(※1)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3
(※2)従業員5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は1/2
4まとめ
事業再構築補助金について解説いたしました。新型コロナウイルスの影響で私たちの生活や日本経済はガラッと大きく変化しました。苦しい状況に立たされている企業や事業主は多いでしょう。ぜひ中小・中堅企業で条件に当てはまる場合は、事業再構築補助金を申請してみてください。